自動車業界は急速に進化し続けており、それに伴う規制では、さらなる高性能や小型化などの新技術が求められています。その結果、ボンネット内温度や燃料システム内の圧力への要求仕様が一段と高まってくる反面、組立ラインでは、簡易性とスピードが強く求められています。
この状況に、ファスナー製品全般が、そして燃料コネクタが、適応していかなければなりません。世界中の自動車に搭載されているARaymond™のプラスチック製コネクタをご存知でしょうか。この度、その弟分である「メタルP2L®(Push to Lock)」が登場しました。異なる素材でありながら、変わらない実用性を保っています。
プラスチックの成功事例を活用
P2L®(Push to Lock)は、プラスチック製コネクタとして、私たちの製品に多数採用されており、特に、組立工程で大きなメリットをもたらすことが、高く評価されています。私たちは、この長所をメタルでも活かした設計を行い、メタルコネクタを開発しました。
まず、完全に接続できているかどうかを目で確認することができる設計なので、不完全挿入を防ぐことができます。動作はシンプルに押すだけで、カチッというクリック音で嵌合状態が確認できます。また、このロッカーは、相手側のエンドフォームが完全に挿入されきるまでロックされない設計なので、組立工程内の品質向上にもつながります。更に、二次的なラッチがないので、作業の手間や時間が省ける上、コネクタを収容する空間を減らすこともできます。この他、ロック解除に特殊な工具が必要ないため(更に、ロッカーには抜け対策つき)、作業効率を大きく向上させます。
メタルならではのメリット
北米のOEM企業では、長年に渡り、メタル製コネクタが採用されてきました。一方、欧州では、特にトラックや高温になるエンジンルームなどに向けた市場において、より高強度なコネクタを提供するため、プラスチックに代わって、メタルの需要が増えつつあります。メタルには実に大きなメリットがあるからです。
衝突実験などにおける耐衝撃性を向上させるべく、構成部品への要求仕様が高まる近年、性能を改善されたメタルP2L®は、より厳しい安全要求事項をも満たすことができます。
違いを生み出す上で、技術面的に重要な要素もあります。メタルは、高温耐性と高圧耐性のどちらにおいても優れた性能を発揮するため、現代の燃料システムにふさわしい素材と言えます。
最後に、メタル製コネクタは、同じベース形状であれば、90度や45度など柔軟に角度を変えられるため、必要なとなる金型数を抑えることもできます。
用途としては、液体燃料用ホースのレール接続をはじめ、トランスミッションオイル冷却(TOC)や、エンジンオイル冷却(EOC)、高温燃料配管、高圧流体システムなど、様々な可能性があげられます。
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